定点観測点(投資主体別売買動向、裁定買い残)と日経平均の関連性考察②

定点観測点の分析、日経平均の関連性の考察として前回はアメリカハイイールド債、ダウ輸送株について調べてみました。

今回は投資主体別売買動向と裁定買い残について記述していきます。

前回のアメリカ指標と比べて、この投資主体別売買動向や裁定買い残は日本株を売買している人にとっては気になる経済指標と考えている人が多いのではないでしょうか。

しかし私を含めて投資(投機)初心者にとってはそれが何を示していて、日経平均とどう関連しているかまでよく分かっていない人は多いはず。

自分の理解を深めるためにも今回グラフをたくさん作ってイメージ的につかめるように工夫してみました。そうすると新しい発見や投資に使えそうな考え方がたくさん見えてきました。

投資主体別売買動向(個人、外人)

まず投資主体別売買動向とは何かといいますと、個人投資家、外人、法人(信託銀行など)それぞれが日本の市場においてどれくらい買い越したか、または売り越したかを週単位で金額を定量的に示すものです。

ヤフーファイナンスのニュースを見ていても、「先週の外国人投資家は大幅な買い越しだったのに対して、個人は大幅な売り越しでした」というような記事を見たことがあると思います。

ただよく分からない事は、この投資主体別売買動向のそれぞれをすべて足したらプラスマイナスが相殺されてゼロになるのかというとそうでもないので、実際の市場ではこの売買動向には表れない取引が行われているのかなと考えています。

またこのデータを扱う上で重要な注意点があります。

主体別売買動向は東証から毎週木曜日に発表があるのですが、先週の段階のデータが発表されるため約1週間のタイムラグがあるということです。

具体的に言うと、先週段階で外国人投資家が大幅に買い越しをしていたとします。

そこで外人についていこうとして、発表後自分もロングで攻めていくと・・・全然上がってくれません。

それどころか次週の月曜日以降下落してしまい結局損切りになってしまいます。

そして驚くことにその週に発表される売買動向では外人は買い越しどころか大幅な売り越しでした。

みたいなことになります。

じゃあ1週間タイムラグがあるデータなんて使い物にならないかというと、そんなことはありません。

具体的にデータをグラフ化してみていきましょう。

以下の図は2014年7月以降の週ごとの外人、個人それぞれの売買動向を足し合わせて累計としたものです。外人(海外累計)、個人(個人累計)をそれぞれ橙色、緑色の線で示しています。

まずこの図から2点重要なことが分かります。

1点目は「外人と個人は逆相関に動いている」ということ、2点目は「たまに買い越しが続く時もあるが、個人はほとんどの時期で売り越している」ということです。

投資主体別売買動向1_20170716

さらに疑問に感じることは、個人の売り越し累計が非常に大きいですが、2014年7月以降で見ると外人も結局累計は売り越しです。特に2016年は個人、外人ともに売り越し続きの時期が多いように見えます。では一体誰が買っているのでしょうか。

先ほどの図の個人、外人に加えて、法人の中の「信託銀行」の売買動向の累計額を加えた図を以下に示します。

図から明らかなように、信託銀行は個人と外人の売りを吸収する側に売買し、累計でみて大きく買い越していることが分かります。

投資主体別売買動向2_20170716

信託銀行とは何かというとGPIFなどの国内の年金基金の売買のことだそうです。

以前「五頭のクジラ」なんてよく聞きましたがこのことではないかと思います。そういえば最近くじらって言葉はあまり聞きませんね。

代わりに掲示板では年金勢のことを「おまる」と表現する人が多いですが、どうしておまるなのか分かっていません。

一方、国内年金勢の他にもう一つ巨大な買いの受け皿になっている機関があります。

言うまでもなく黒田総裁率いる「日銀」です。

日銀の買いが主体別売買動向にどのように反映されるかというと、「証券会社の自己売買」に相当するらしいです。東証が毎週発表する売買動向の見方が勉強不足のためよく分からないのでグラフには起こしていません。

ただ日銀が買ったかどうかは毎日発表があるので、売りの受け皿になっていることは間違いないですね。

しかも一応高値で利益確定する年金勢と違い、日銀は買いっぱなしです。

私は2015年8月にロングポジションで保有資産の1.5倍くらいのおおやられをして以来、ほぼ売り方としてポジっており、この年金勢と日銀が憎くてしょうがないですが、

相場は自己責任なのでしょうがないです。

さらに日銀についてもう一つ、私はこれまで日銀が直接市場から1570のようなETFを買っているのかと思っていたのですが、そうではないみたいです。

証券会社が市場で自己売買として株を調達しETFを組成して、それを市場外で日銀が買い取る という事のようです。

したがってリアルタイムの掲示板で、また日銀が買いやがったーー国民の血税を無駄にしやがってーーーというような発言をよく見かけますが、ちょっと違うっぽいですね。

話がそれてしまいましたが、要するに2014年7月以降の売買動向を見ますと、個人と外人の売りに対して、信託銀行(年金勢)と日銀(証券自己)が買いで応戦したという構図のようです。

続いて外人、個人の売買動向と日経平均指数がどのように関連しているか分析してみました。

以下の図に先ほどのグラフに加えて日経平均終値を重ねがいたものを下に示します。

売買動向はグラフ左側の軸、日経平均終値はグラフ右側(第二軸)の軸です。

投資主体別売買動向3_20170716

先ほど上で売買動向が示す特徴として「個人と外人は逆相関になっている」ことを挙げましたが、さらにその時の日経平均指数と関連付けてみてみると、総じて以下のことが言えます。

☆日経平均指数の上昇は外人の買いと相関している

外人が買わないと日経平均指数は上がらないということです。年金勢、日銀はほぼ逆張りに動くため指数の下落を減衰させることは出来ても、指数を上げることは出来ないからです。

個人は指数上昇局面でどうしているかというと、ひたすら売り続けています。私もそうでしたが・・・。

ヤフーファイナンスのニュースでは「指数の高値圏で個人はすかさず利益確定をしている」というのを目にしますが、実際そんなわけないと思います。売りに対してさらに信用のナンピン売りをしている人がほとんどではないでしょうか。つまり大損していることになります。

引き続き注目すべき点を見ていきます。

個人が売り越しし続けた後に相場がどうなったかという観点で分析してみました。以下の図の赤破線のあたりがそれに相当します。

投資主体別売買動向5_20170716

個人の売り越しが続いた後に相場がどうなったかというと、いったん相場はもみ合いになり、それと共に個人の売りは収まる(買い越しているわけではなくてほぼニュートラル)事が多いようです。

うがった見方をすると、上昇局面で逆張りショートした個人が含み損に耐えられなくなるまで一呼吸おいているとも言えるかもしれません。

いったん相場がもみ合いになってからは、再度上昇するか、大きな下落に転じるかは分かりません。

〇2015年夏は2015年6月まで上昇し、8月でダブルトップを付けるまではもみ合った後、大きな下落に転じました。

〇2014年秋は黒田バズーカ2で上昇したのちにもみ合いになりましたが、その後さらに上昇し日経平均は2万の大台に乗せました。

〇2016年末のトランプラリー時は、激しく上昇した後にもみ合いとなり、18000円付近まで調整しました。さらにそこから上昇した後、現在はもみ合いという状況です。

上記の上昇局面は、1,2週間の期間ではなく、最低でも1か月以上上昇し続けていますが、この期間個人は例外なく売り越しし続けています。さらにその直後に下がってくれればまだショート玉は助かりますが、しばらくはもみ合いなので、含み損を抱えたままになってしまいます。

したがって個人の売り越しが続いている時に、便乗してショートを仕掛けるのは危険だということがいえそうです。

上記は上昇局面のショートについてばかり書きましたが、勿論下落局面の逆張りロングも同じことが言えます。

基本的には外人のポジションに付いていくのが良いと考えていますが、上で述べた通り主体別売買動向は1週間前の情報しか分かりませんので、足の速い外人の短期筋に付いていこうとしても梯子を外されることになりかねないですので、順張りポジションは自分の逃げ足を確保しつつ(確実なLCの設置)臨機応変に対応しなければなりません。

裁定買い残

投資主体別売買動向と並び、チェックすべき定点観測点が裁定買い残です。

裁定取引とは、大口の投資家が現物買いと先物売りを組み合わせて、利ザヤによって利益を上下ていく手法、らしいのですが・・・初めは「現物買いと先物売りって一緒やん、どうやって利益を上げるの?」でした。

ざっくり具体例を挙げると、例えば日経平均現物が20000円、日経平均先物(期近物)が20010円だとすると、同じ枚数で現物買い、先物売りを行えば、SQは現物の価格になるので利益をあげられる・・・ぐらいに今は理解しています。

大口さんが利益を上げる裁定取引自体は本質ではないので置いておいて、裁定買い残りがどのように推移するかは以下のような流れです。

①将来日経平均指数が上昇すると予想すると、まず先物買いを仕込む(ここで日経平均現物<日経平均先物という価格関係になるのかな?)

②先物を売って、現物を買う。いわゆる裁定買いで、これにより裁定買いが膨らむ(あらかじめ先物が現物よりも価格が高いと、これを行うことで利ザヤを得ることができますね)

結果論としてこの裁定買い残が膨らんでいけば日経平均指数は上昇する

③現物を売る。これが裁定売りで、裁定買い残が減少する

さっきとは逆で裁定買い残が減少すると指数は下落する

大事なのは上の赤字で示した部分で、裁定買い残が積みあがっていくと指数は上昇するが、目安となる裁定買い残値まで積みあがると、そのあたりから指数が下落する。逆に裁定買い残が減少していくと指数は下落するが、ある目安となる裁定買い残値まで減ると、そのあたりで指数は下げ止まる。

具体的に2015年6月以降の裁定買い残と日経平均を横並べしたグラフを以下に示します。

もう少し過去のデータから示せれたら良かったのですが、数値データが見当たらなかったためこれが限界でした。

裁定買い残‗20170716

図から分かるように、たった2年くらいのデータではありますが、確かに裁定買い残と日経平均指数は連動しています。

さらに過去の経験則として、裁定買い残が3.5兆円以上膨らむと、近い将来相場が下落に転じる

一方、定買い残が2.5兆円を下回ってくると近い将来相場が底打ちする

といった事が言えるようです。

ただし3.5兆円を超えて4.5兆円に近づくまで指数が上昇し続けたこともありますし、記憶に新しい2016年6月ブレグジットの時は0.5兆円まで減りましたが、そこでやっと底打ちでした。

あくまでも目安という事ですね。

ただし今後これまでのような経験則が使えるかというと、やや不安に感じています。

これまでの経験則からすると、現状(2017年7月時点)は指数が20000円を超えているそれなりの高値圏にあるにもかかわらず裁定買い残が2兆円に満たないという事は異常事態です。

この理由は上の投資主体別売買動向で述べたように、年金や日銀が比較的指数が高い位置にあっても買ってくる事が原因だと考えられます。(実際日銀は前日比マイナスであれば平気で買ってきてます)

今の状況だと、裁定買い残が3.5兆円まで積みあがると一体指数はどれくらい上がるのか、もしかしたら23000円とかいっちゃうのではないかと思います。

そう考えると、3.5兆円という節目よりも低い価格帯、例えば2.5兆円あたりを境に、相場が下落に転じてもおかしくないかもしれませんね。23000円なんて高すぎるという個人的な感覚ですので、全くあてになりませんが。

しかしながら現状はトランプラリーが一息ついた2016年末から裁定買い残1.5兆円~2兆円あたりでうろうろしている状況ですので、ここから本格的に下落する事は考えづらいと思っています。

まとめ

本記事では個人、外人に関する投資主体別売買動向と裁定買い残がどのようなものか、またそれらと日経平均指数との関連性について分析しました。

その結果、注意すべき点、分かった点をまとめると・・・

①投資主体別売買動向は毎週木曜日に発表されるが、先週の数字が発表されるため、今週どういう傾向にあるかは分からない。

②個人、外人の売買額累計は逆相関となっている。日経平均指数は外人が買い越さなければ上昇しない。

③2014年7月からの動向として、個人累計は大きく売り越している。外人も個人ほどではないが売り越している。

(グラフには表せていないが、2013年は個人は約8.7兆円の売り越し、外人は約15.1兆円の買い越しである。個人は2011年のみわずかに買い越しているが、2010年以降の売り越し額は30兆円近い。)

④相場が上昇している時、個人はひたすら売り越し続きだが、その後相場はしばらくもみ合い、個人の売買動向もニュートラルになる事が多い。したがって逆張りのショートは危険である。

⑤裁定買い残がふくらむと日経平均指数は上昇する、逆に減少すれば日経平均指数は下降する。

⑥裁定買い残が3.5兆円を上回ると相場は天井圏、2.5兆円を下回ると相場は下げ止まる傾向にあるが、現在(2017年7月)は指数は比較的高値にあるものの裁定買い残は1.5兆~2兆円付近であり、これまでの経験則とは異なる。この一番の要因は、日銀、年金が強力な買い方になっているからだと考えられる。

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